那覇地方裁判所 平成4年(行ウ)2号 判決
原告
奥間盛行(X)
右訴訟代理人弁護士
儀武息茂
被告
沖縄県知事(Y) 大田昌秀
右指定代理人
屋比久孟尚
同
石原淳子
同
具志堅健
同
蔵田博国
同
宮城安
同
富里正泰
同
座安治
事実及び理由
第三 争点に対する判断
一 争点1について
公有水面の埋立免許は、これを受ける者に対し、特定の公有水面を埋め立てて土地を造成し、その竣工認可を停止条件として、埋立地の所有権を取得させる、いわゆる特許たる性質を有する行政処分である。
無願埋立ての追認も、埋立免許に関する規定を準用していた(沖縄埋立法三六条三項)ことからすれば、その法的性質は、埋立免許と同じく特許たる性質を有する行政処分であると解される。
ところで、一般に、行政行為は、所定の行政手続を経た上で、外部に表示されるか、少なくとも外部的に認識され得る表象を具えるに至ったときに、はじめて成立する。
公有水面の埋立ては、一面において、当該水面に権利を有する者や、地元住民に対する利害関係があることから、免許に当たっては、免許権者が地元市町村の意見を徴することを要し(沖縄埋立法三条、ただし、新法においては市町村長)、埋立工事の施行区域内における公有水面に関し、権利を有する者があるときは、その権利を有する者が埋立てに同意するか、あるいは埋立てによって生ずる利益の程度が損害の程度を著しく超過するか、又はその埋立てが、法令により、土地を収用又は使用することができる事業のため必要である場合でなければ埋立ての追認をすることができず(沖縄埋立法四条、新法にも同様の規定がある。)、免許権者は、右手続を経た上で、免許をなすこととされている。
前記のとおり、追認は、埋立免許に関する規定を準用していたので、市町村に対する意見徴取などの所定の手続を経た上で、免許権者において、追認の可否を判断し、追認しても差し支えないと判断すれば、一定の期限内に免許料を納付することを条件に(沖縄埋立法施行規則一八条、新法にも同様の規定がある。)、埋立ての追認をすることとなっていた。
そして、〔証拠略〕によれば、原告及び宮城のした本件申請に対する審査手続は、被告が、北谷村から、追認についての意見を徴取し、本件埋立地の北隣地の評価を求める段階まで進行していたことは認められるものの、その後、被告から原告及び宮城に対し、書面等により追認の通知をした事実を認めるに足りる証拠はなく、また、右評価に基づいて、本件埋立地の埋立免許料が定められ、原告及び宮城から埋立免許料が納付されたという事実を認めるに足りる証拠もない〔証拠略〕の領収証書によれば、宮城から琉球政府建設局総務課に対し、公有水面埋立免許料として、二万一〇〇五ドル七八セントが支払われていることが認められるが、その支払時期が昭和四一年であることからすれば、前記争いのない事実等に照らせば、これが本件埋立地に関するものでたいことは明らかである。なお、これは、免許埋立地に関する埋立免許料であると解される。)
かえって、〔証拠略〕によれば、原告は、昭和六〇年に、本件埋立地に関し、被告が追認をしないことを違法であると主張して、不作為の違法確認請求訴訟を提起している事実が認められ、原告において、本件埋立地について、追認がなされていないことを認識していたことが認められる。
なお、〔証拠略〕の「公有水面埋立免許に伴う北谷村の意見徴集について」と題する書面の所見欄には、本件申請について、追認することが適当と認められる旨の記載があるが、この文書は、琉球政府建設局から北谷村へ意見を徴取する際に作成された内部文書であり、該当箇所は、同局土木部土木課の起案者が、行政主席に対し、北谷村に意見を徴取することにつき決裁を求める際の私見にすぎないと解され、北谷村に意見を徴取する以前に作成されていることからしても、同文書の存在をもって、追認行為が内部的に成立していたと認めることはできない。
以上から明らかなように、本件埋立地について、琉球政府あるいは被告から、原告に対し、無願埋立ての追認があったという事実を認めることはできない。
二 争点2について
〔証拠略〕によれば、本件第一の処分より以前の平成三年一一月一四日付けで、被告から、原告に対し、原状回復義務の免除申請の催告が書面〔証拠略〕によりなされていることが認められる。
原告は、〔証拠略〕は、原状回復を免除するという通知であって、催告をした通知ではない旨主張するが、新法三五条一項ただし書にいう催告が、法文上、原状回復義務免除申請の催告であることは明らかであり、本件につき、〔証拠略〕の記載自体から、原状回復義務免除申請をするよう催告されていることが認められ、原告の主張は採用できない。
三 争点3について
本件埋立ての追認は、免許に関する規定が準用されるが、(旧法三六条三項)、これは、いわゆる自由裁量行為と解すべきであり、また、本件各処分につき、裁量権の逸脱もしくは濫用があることをうかがわせる証拠はなく、原告の主張は採用できない。
第四 結論
以上から、被告の本件各処分は適法になされたものであり、原告の請求は、いずれも理由がない。
(裁判長裁判官 木村元昭 裁判官 生島恭子 村越一浩)